
Source: BBC
【BBC】2016年6月、アイルランド北部ミーズ州の Emlagh湿地で、ジャック・コンウェイさんが泥炭の採取をしていると、土に埋もれた巨大なバターの塊を発見した。
思いがけないものを掘り当てたコンウェイ氏は、すぐさま地元の博物館に分析を依頼。
その結果、キャバン州博物館は、「バターはの塊は重さ10kg。なんと2000年以上前のものである」と告げた。
キャバン州博物館のサビーナ・ドナホー館長によると、この古代のバターは、強烈なチーズ臭がするという。見つかったのは、地面から 3.6m 掘り進んだところだ。

キャバン州博物館のサビーナ・ドナホー館長、発見者のジャック・コンウェイ、アイルランド国立博物館のアンディー・ハルピン。 Source: BBC
ドナホー氏はまた、「これほど深く土に埋まっていたということは、このバターは大地の平安を祈るための儀式の一環として埋められ、神々に捧げられたのかもしれない」という。
中世のアイルランドではいろいろなものが湿地に埋められていた。土壌に含まれる酸素の少なさや、酸性度、低温などの条件が重なって、土の中は絶好の保存庫になったからだ。
保存食として埋めたのなら、普通は木箱にでも入っていそうなものだが、今回はむきだしの状態で見つかった。
そのため博物館関係者は、このバターは儀式で神々への捧げものとして埋められたのだろうと考えている。2000年前に巨大なバターを地中深く埋めた何者かは、おそらく再び掘り返すことは考えなかったのだろう。
バターやほかのどんな乳製品も、かつては非常に高価で、豊かさの象徴だった。
「その時代、バターは贅沢品でした。もちろん自分で食べるために作りもしましたが、売って税金を払ったり、家賃を払ったりしていたのです。
あまりいい匂いとは言えませんが──強いチーズのような匂いがします。少しだけ食べてみてもいいですが、おすすめはできません。
今は地上に出てしまっているので、このままだとひからびるでしょう」
バターはダブリンの国立博物館に引き渡され、放射性炭素で正確な年代を測定した後、一般公開される予定だという。
おそらく食べても害はない、とのことで、どんな味がするのかとても気になるところだが、今のところ誰かが実食を試みたという情報はない。