
Source: Atlas Obscura
南アフリカにあるリゾートホテル、エモヤ・エステートは、他に類を見ないコンセプトのリゾートを展開して有名になった。そのテーマとは“貧乏”だ。宿泊者たちはお金を払って、極貧生活を満喫できる。

Source: Emoya Hotel & Spa
【Atlas Obscura】ホテルは、サイやライオンやキリンなどがいる自然保護区の中にある。メインになっているのはアフリカらしいワイルドでエキゾチックな魅力を堪能できる、正統派のラグジュアリー・リゾートだ。野生動物の息づく大自然のなかで、パリッと糊のきいたまっ白なシーツで眠り、最高のもてなしをうけながら、ジャングル風のスパや、本物のサファリツアーなどが楽しめる。

Source: Atlas Obscura
そんな高級感いっぱいの施設からほど遠くないところに、シャンティー・タウン・ロッジ(スラム街ロッジ)は建てられた。南アフリカの大自然だけでなく、都市の風景まで再現しようというのである。計算された雑さで、不揃いなトタン板がつぎはぎされ、治安の悪いスラム街の雰囲気を醸し出している。
体験の質を高めるため、屋外に粗末な金属製のかまどがあり、トイレも別棟。本物のバラック小屋らしく、風呂も屋外にある。
このトタン張りの小屋では、夏は蒸し風呂なって、冬は隙間風が吹きそうだが、中はいたって快適だという。
小屋がみすぼらしいのは外観だけで、内側はしっかり補強されていて、家具も整っているのだ。本物のスラムと違って、電気も水道も通っている。飢えることも、犯罪の脅威にさらされることもない。
ウェブサイトではこのように宣伝されていた。
「ここは世界でただ一つの、床暖房とWifi完備のスラム街です!」
さらに、「原初的なコミュニティーに立ち返ることで、仲間たちとの絆を深めるのに最適」、「一風変わったパーティーにもってこい」とのこと。

ホテル側のねらいは、貧困者の現状を知ってもらってチャリティをすることではなかったようだ。Web上で非難が集まったためか、現在HP上にシャンティー・タウンについての説明は見当たらないが、一部写真が残っているところもある。 Source: Atlas Obscura
貧乏なんて嫌い!という人は、シャンティー・タウンの宿泊者から学ぶことがあるかもしれない。
成功者は貧乏だって楽しめる。 …お金の心配さえなければね。