フィリピンの町で【うわさ話】が法律で禁止に。違反者には罰金

ビナロナンの町なみ source:Wikimedia

うわさ話というのは、人を傷つけることが多いものだ。

フィリピンの首都マニラから北へ200kmほどの小さな町、ビナロナンでは、「うわさ」に対して大胆な政策がとられた。

ここでは「うわさ」が、法律で禁止されている。

Gurdian】この新しい法律がはじまる前は、うだるような暑さの中、住人たちが木陰に集まり、ご近所についてのうわさ話をするのが日課だった。

「いろいろなうわさ話がありますが、ここでのうわさのほとんどは、他人の財産や、金銭、人間関係でのいざこざ、などについてです」
この「うわさ防止条例」を可決した、市長のラモン・ ガイコ氏は、そう説明した。

きっかけは、うわさに煽られたいくつかの論争が深刻化して、地方議会が介入しなければならない騒ぎになったことだった。

下らないうわさを流した違反者には、初回は200ペソ(420円)の罰金と、3時間のゴミ拾いが科される。再犯だと、罰金は最大1000ペソ(2100円)まではね上がり、8時間の社会奉仕が科される。

「この条例は、自分たちの発言は何であれ、個人として、そしてこの自治体の一員としての、責任をともなうのだ、ということを思い出させるためにあります。私たちは、ビナロナンの住人がどんなにいい人々で、ここが住みやすいところか、他の町の人々に見せたいと思っています」

市長は、何人かの住民がすでに処罰されていることを確認しており、地元のもめ事を減らすことにも成功したという。

「うわさを禁止することは、町の生活の質を向上させるための、私たちなりの方法です」と、市長は言う。 「他人について否定的な話をするよりも、やるべきことがあります。うわさ話のない町は、もっと実り豊かな場所になるでしょう」市長は同様の理由で、より町の生産性を上げるため、夜10時以降のカラオケも非合法化している。

東南アジアでは、フェイク・ニュースに対抗する法律の導入がますます広まりつつあるが、そうした規制は言論の自由とも関わってくる。しかし市長は、この条例は決して、住民たちの自由な表現を、妨げるものではない、と断言する。

「ビナロナンの人々は、こうした行いに縛られない町を目指そう、という主張に協力的です」「この条例は、言論や表現の自由を侵害するものではなく、悪口や誹謗中傷から住民たちを守るものなのです」

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