【中国】86歳のおばあちゃんが、【陶磁器の宮殿】に9000万円費やす

ODDIY CENTRAL】中国南部、やきものの産地として有名な景徳鎮市に住む Yu Ermei(86)は、ライフワークとしている“陶磁器の宮殿”作りのために、5年の歳月と、およそ9000万円の費用をついやした。その金額と時間に、まわりからは気でも違ったのかと思われたが、彼女いわく、この宮殿なくして、自分の人生をまっとうすることはできないという。

Source: CHINA DAILY

この途方もない計画がひらめいたのは、6年前。家族ははじめ、ボケてしまったか!? と思ったが、彼女はこれが自分の人生をかけた夢であることを根気強く説明した。

景徳鎮は“中国のやきものの中心地”と言われている街である。12歳の時からそこで暮らしてきた Yu は、後世に自分の生きた証となるような、街の名誉となるような何かを残したかったのだ。

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彼女は陶磁器ビジネスに生涯をささげてきた。はじめは工房の見習いとして、それから二つの国有の工房で職人として働いた。充分な経験を積んでからは、自前の窯を持って工房を開き、長年かけて、かなりの富を築いた。

この宮殿は、景徳鎮という街と、自らの人生を捧げてきたやきものへの、恩返しなのだ。

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世界中に陶磁器を売るかたわら、ここ30年間は、磁器のコレクションにも力を注いできた。だが集めた磁器をどうするかまでは考えていなかった。──天津にある有名な“磁器の館”を見るまでは。

そこに究極の美を見た彼女は、すぐさま天啓を得、6万点におよぶ自らのコレクションの使い道を思いついた。

窓は花瓶のような形で、すみずみまでこだわりが感じられる。Source: ODDIY CENTRAL

床に敷き詰める陶片は景徳鎮の外の村で買いつけ、円形の建物の装飾がはじまった。現在ほぼ完成しつつある宮殿の広さは、1200平方メートル、使われている陶片の重量は80トンだ。

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色鮮やかな装飾には、不死鳥に竜、太極拳から黄道十二宮まで、中国のありとあらゆる縁起ものがてんこ盛りだ。内部は床も壁も天井も、すべてが陶磁器で覆いつくされている。

この宮殿には現時点で 8800万円もの私財が投じられており、資材として使われている陶片ではなく、そのままの形で飾られている貴重な陶磁器の額は含まれていないという。彼女によると、コレクションには5億8000万円相当の価値があり、さらに北京のコレクターから3億7000万円相当の品々を入手した。家族がやめるように嘆願しても、聞く耳をもたないらしい。

これほどの費用と労力を注ぎこんでも、彼女はまだ満足できていないという。なぜなら目標はもっと高いところにあるからだ。この宮殿がたくさんの旅行者を引きよせ、地元の人々の生活がよくなることまで、願っているのである。

彼女は頭をひねって、この宮殿をさらに魅力的にする美しい装飾を考える──人生で最も意義深く、記憶に残る偉業を達成するために。

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