
南極で採取された生物の卵のうの化石から、5000万年前の精子の化石が発見された。
「卵のう」とは卵を衝撃や乾燥から守る強靭な膜のこと。(カマキリの卵などが身近でイメージしやすい)。2015年、スウェーデン自然歴史博物館(SMNH)の研究チームの一員トーマス・モルス氏が、小動物の痕跡を求めて南極で採取した石を選別していたところ、偶然その卵のう化石を見つけたという。そして、電子顕微鏡で観察した結果、中に大量の精子細胞が化石化した状態で含まれていることがわかった。

精子は、絶滅した環形動物(ミミズやヒルなどを含む動物群)のものであると判明した。とくに、ザリガニの殻に寄生して、死んだ有機物を食べるヒルミミズの精子とよく似ているという。
発見された精子には、残念ながら培養できるような有機的なDNAは残っていない。しかしながら、「精子細胞はとても短命でもろいので、化石として残ることは、ほとんどありません」と、同じくスウェーデン自然歴史博物館の古生物学者であるベンジャミン・ボンフルール氏は、精子が化石化すること自体、非常に稀なケースだと語っている。
ちなみに今回の発見は、化石として死んだ状態で残っていた精子の最長記録だが、生物界には、とても長命な精子というのも存在する。
ヒルミミズや人間を含め、動物の精子の寿命は数時間〜数日間で、すぐに劣化が進むことがほとんどだ。が、女王アリは一度の交尾で10年以上もの長いあいだ産卵しつづけるため、精子を生きたまま体内に貯蔵しておける特殊な「受精嚢」を持っており、場合によってはその中で、20年以上生きつづける精子も存在することがわかっている。
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