カナダの空港で手荷物から【5000匹のヒル】を押収。罰金150万円!

source: Business Insider

2018年10月17日、トロントのピアソン国際空港で、国境警備隊の探知犬が、異様な持ち物を発見した。機内持ち込みの手荷物の中に隠されていたのは、正確には 4788匹の生きたヒルだ。

持ち主のカナダ人、イポリット・ボドゥノブは、「必要な許可なく、国際的に取引が規制されている種を、違法に輸入しようとした罪」で、15000ドル(150万円相当)もの罰金を科せられた。

罰金が高額になったわけ

150万円の罰金はかなり高額だが、トロントのロイヤルオンタリオ博物館の鑑定の結果、押収されたヒルの大部分は、絶滅の危機に瀕している「医療用ヒル」の一種「ヒルドヴェルバナ」だと特定された。また、240匹をニューヨークのアメリカ自然史博物館に送って、胃の内容物をDNA鑑定したところ、野生で捕獲されたことも明らかになった。

ロイヤルオンタリオ博物館の無脊椎動物動物学の学芸員、セバスチャン・クビスト氏によると、こうした「医療用ヒル」には需要があり、1匹あたり600〜1400円ほどで取引されるという。仮に1匹1000円で計算したとしても、5000匹のヒルには500万円の価値があるわけだ。

ヒルは中世から今まで医学で使われている

動物からじわじわと血液を吸うヒルの唾液には、血液の凝固を防ぐ成分が含まれている。そのため医療現場では主に、火傷の治療や、形成外科手術後に傷口を再付着させる際、うっ血防止に使われることがある。

さらに、西洋医学では中世の時代から使用されてきた、とクビスト氏は説明している。
古くは瀉血(過剰な血液が病気の原因となるという考えから、血液を抜く処置)のために利用され、マンチェスター王立診療所では1831年の1年間だけで5万匹ものヒルが使用された、という記録もある。最も古いところまでさかのぼれば、紀元前200年には、ギリシャ人の医師がヒルを使用している。

大昔から、ヒルを捕獲したり、養殖することを生業とする人々はいたのだ。

しかし、カナダ環境・気候変動省(ECCC)の野生生物取締局にとって、「ヒル」の密輸はこれが初めてのケースだった。
「これは私たちにとって最初の、大規模なヒル密輸です」
と、運営責任者ゲリー・ ブルネット氏は語る。

ちなみに、イポリット・ボドゥノブはロシアからの便でやってきたことがわかっている。見つかったヒルは、10個の湿らせた布の袋に小分けされたうえに、大きめの食品用バックに詰めこまれていた。

幸いなことに、ヒルたちはみな、窮屈な空の旅を無事に乗りきった、とのことだ。

【補足】「ヒル・デトックス」の様子。ブルックリンのクリニックにて

体の老廃物を排出するエステ感覚で行われている。施術後のヒルは丸々と太っている。

参考: Newsweek, Business Insider, National Geographic, Wikipedia

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