【人の尿でできた陶器】を開発。安全で資源も豊富

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このツヤツヤとした陶器には、人間の「おしっこ」がかかっている。

正確には、陶器にコーティングされた釉薬が、人間の尿を原料に作られている尿には、ガラスや陶土に含まれるのと同じ成分が、含まれているのだ。

釉薬のかかった陶磁器は、古代から現在まで、人々の生活を支えてきた日用品の一つだ。見た目が美しいだけでなく、素焼きよりも水や汚れが染みこみにくく、割れにくくしてくれる実用的な効果もある。

古代文明では、灰・ソーダ・砂などが釉薬の材料に使われてきたが、現在の陶器産業でもっとも多く使用されているのは、ガラス・酸化物の混合物・鉛などだ。しかし、そうした金属を含んだ工業用釉薬は、環境にも人体にも有害なことがあるという。

作者のサイニー・キムは、人間の尿に釉薬と同じ成分が含まれていることに気づき、より安全に陶器の艶出しをする方法を開発した。

まずキムは、5ヶ月以上かけて、5人の人間から、280リットルの尿を集めた。

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それから、それを蒸発させて蒸留。

暗灰色をした残留物のペーストを抽出する。これで「尿の釉薬」の完成だ。

独特のデザインは人間の「膀胱」に着想を得た。source: NDTV

仕上がりは、艶やかでミルキーな風合いになる。

パールな輝きのタイル。「尿中のミネラルは、鉄、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの一般的なミネラルを含んでいるので、釉薬や粘土と同じ役割を果たすことができます」とキムは説明する。source: NDTV

キムのサイトによると、人類は毎日平均105億リットルもの尿を生産し、破棄しているという。トイレに尿を流すたびに、そこに含まれる貴重なミネラル・尿素なども捨てているのだ。かつては、そうした成分の効能を得るために、尿がリサイクルされていた歴史もある。

「肥料」はもちろん。人間の尿に含まれるアンモニアには洗浄成分があるため、発酵させて「洗濯」にも使われていた。古代ローマでは、歯を白くしてくれると考えられ、なんと「マウスウォッシュ」として使われていたこともある。さらには、火薬の製造に必要な「硝石」は尿素から生じるため、便所から採取することもあった。

現在では、尿をリサイクルすることは気分的に敬遠したくなりがちだ。が、実は「尿」は人類にとって、役立つ成分を含んだ莫大な「資源」でもあるのだ。

参考: NDTV / Sinae KIM / dezeen / Wikipedia

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